back_to_index

Drifting Antigone Frontline

ラ・マンチャの男

2003/04/01 00:13 JST

東宝のページ
ブロードウェイのページ
ファンサイト

映画版の「ラ・マンチャの男」を見た。ちょうど、おしゃれ泥棒を見たあとだったので、ピーター・オトゥールが素敵。というか、この映画は完璧である。ぼくはほとんど泣きそうだった。最近ますます、浪漫主義者になってきていることもあるとはおもうのだけれど、高貴さについてしばしば考えずにはいられない。

ソフィア・ローレンも肉感的で美しい。感情の揺れ動きの中で、次第にキホーテのこころの気高さにひかれていく。おお、ドルシネア! 第二の現実を持つということは、けっして第一の現実の否定ではないと思う。ただ、ひとは生きるためには、ふたつの現実をつくりだすことで、その隙間に真実を生存させる必要があるのだ。虚構とは、生の肯定のための技法なのだと思う。

原作のファンとしては、かなり後編にあたる部分をはしょってあるのは勿体無いのだけれど、これは長さの都合で仕方がない。ただ、すべてを宿屋での出来事に還元してしまったのは、ちょっとスケールを小さくしてしまったかな、という感じはある。冒険が少ないので、あまり不屈の、という感じがしないので、これはやはりある程度、原作を知ってることが前提なのだろうな、とおもう。

しかしもちろん、そうでなくても十分感動できる。どうか、この文章を読んで、映画のビデオなり、舞台なりにアクセスできる人は、ぜひとも見ることをお勧めします。うつくしい映画です。

なお、ブロードウェイのページで、「ドン・キホーテ」や「ドルシネア」が聞けますので、ぜひ。
「見果てぬ夢」は勇気が出る名曲です。