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Drifting Antigone Frontline

2003/05/07 00:00 JST

vermilion::text 83F 「あめもよい」 07:15

 死というのは、ただ単に胸糞の悪いものだ。だいたい死んでいる人間は返事をしない。しかも毀損した死骸はひどい匂いがしたり吐き気のするような外見をしている。あんなむかつくことはなくすべきで、人を殺して死骸を増やすなどというのは、本当に言語道断な振る舞いだといわねばならない。

 綺麗なものが好きだ。

 私は数年前から、存在の世界というものにうんざりしてきていた。結局、だれもかれも存在するもののことばかり話している。存在するものなど、存在しないものに比べれば三文の価値もない。夢や希望といっても、きいてみれば所詮その夢や希望は存在の世界のものでしかない。なんだ、結局、成功したいんじゃないか。無の無、虚の虚のなかにこそ、求める甲斐のあるものがあるはずだ。存在しないもの、存在し得ないもののためにこそ、芸術があり、人生があるのだと私は思ってやまない。

 枯葉朽葉がきらきらと逃げ水に落ちていく。

 そんなことを考えながら、ある朝、私はゆくあてもなく散歩に出かけた。失望するために出かけたのだ、そういってもかまわなかった。だが失望するためには希望する力がなければならない。私は幻に絶望的に信頼して歩いていた。幾度失望しても、私はどうしても、不在の何かに出会えるという希望をもたずにいることができないのだ。私は幻想にたえまなく襲われながら不断に失望していく、そんないそがしいおろかな日々を生きているのだと思いさえした。私は現実にひねくれたかたちで求愛していて、それを軽蔑しているようでいながら、あまりにもふかく信じているのかもしれない。私は現実が奇跡的であることへの信頼をどうしてもなくすことができないのだから。

 木戸をくぐるともう裏の小道だ。隣家の鳳仙花の匂いがむせるようで、この道がいつか舗装されるときのことを思うと嘆かれてならない。もうあらかじめなくなった道だからこのみちをゆくことが愛されるのだろうか。

 水溜りができていて気がつかずに私はかかとだけ踏んでしまった。しぶきが心地よい音を立てて注意を引いた。のぞきこむと空の奈落がうつっていて、存在しない深さが青く輝いている。

 顔を上げると塀の上に指先大の少女が座っていた。

 「いい陽気だね」

 「もう雨よ」

 「そいつは困ったな」

 「そうよ、失礼しちゃうわ」

 指先大の少女はたちあがると服のほこりをはらって、どこからかパラソルを取り出した。それから、

 「どいて」

 というので水たまりから足をどかすと、彼女はパラソルをかかげて、ふわり、と塀から飛び上がった。見ていると、彼女はそのまま滑空して、ぽちゃんと、水溜りの中に消えた。

 「おやおや」

 のぞきこむと、水溜まりに写った空に、彼女が飛ぶ姿が見えていた。

 たちあがって、真上をみると、

 少女の姿は空にあった。あかいパラソルが青に映えて。

 「さて、雨宿り、しないとな」

vermilon::text 876F 「黒猫と冒険」 07:12

 黒猫は自分のことを一個の何処から見ても不足のない探偵だと認識していた。ただ残念なことに解決すべき事件と依頼者だけがかれには欠けていた。

 そこでかれは昼間のねぐらにしている土管から抜け出すと眠たげな午後の日差しの中に宝石のように滑らかな毛皮で下り立った。黄色いトパーズの瞳で公園を見回すが、あたりには宿無しが二三人いるだけだ。剥き出しの地面を厭うようにかれは正方形の公園を斜めに横切ると、出口近くに鉄の侵入禁止の柵のところに至った。するとそこには三毛の仔猫がいて、なにか訴える様子だ。

 視線のほうを追っていくとそこは公園の外で、なにやら切断された肢のようなものが見える。黒猫はひらりと柵を飛び越して近づいてみた。そこにあったのは車によって轢断された雌猫の死骸で、おそらくはさきの仔猫の母親なのであろうと思われた。ひとしきりあたりを検分すると、黒猫は、これは探偵の事件ではない、と結論を出してともかくさきの場所に戻ってみたが、仔猫はもはやいなくなっていた。

 黒猫はそのまま道路にまた戻って向こう岸へとわたることにした。車が途切れるのを見計らって横断すると、二人の人間の子供が歩いてきた。どうやら制服を着ていることから中学生とわかる。黒猫は面倒を避けようとしたが、目ざとく見つかってしまった。

 抱きかかえられて藻掻いていると、なにやら一方的に話し掛けてくる。父親がいないからつれて帰って飼ってやれないという。これは事件だろうか、と黒猫は一瞬考えたが、おそらくは違うと判断した。うるさくしばらくさわられていると機会を見つけたので逃げ出した。

 足を伝って降りると、そのまま走り出す。しばらくいくと入り組んだ古い住宅街へと入った。たまたま板塀の割れ目から古屋の庭に入り込むと、そこには老婆が一人縁側に座っていて、庭の真中には梅が咲いていて香りが空気を染めている。

 居心地がよさそうなので黒猫はとりあえず縁側に上がりこんで寝転んだ。老婆は気がつく気配もない。どれほどたってからか、おくのほうで玄関のあくおとがして、だれかが帰ってきたらしい。

 起き上がって伸びをして、帰ってきた人間を見ると、さきほどの女の子供である。黒猫は、なるほど、これは事件に違いない、と考えた。しかしなぞはあっても依頼者がいない。

 そこで、その子供のすそをひいて、さきほどの死骸のところまで連れて行って、弔ってやれ、という気持ちで細く長くないた。

 庭に戻ると、やはり梅はうつくしく咲いていた。

 黒猫はいろいろと間違っているかもしれないが、満足して、また眠りに入った。

FSS 06:29

http://www.fss.jp/

とりあえず、バランシェとアマテラスの永訣のシーンは泣けるのです。

BS漫画夜話なんとか見れないかなあ。

vermilion::imagery? 06:18

vermilionの画像版をどうするか考えてるのですが、お絵かき掲示板がいいのか、単純にキーワードに張ってあるページのリンクを書くのか。挿絵ををつける場合、作者の了解はとったほうがいいのか。

XML 04:39

id:sugioさんへ。

というかぼくも詳しくはないんですが。

http://www.cityfujisawa.ne.jp/~yanai/xml/

XML自体は、HTMLのタグ勝手に考えていいやつ。と、理解してます。(どっかで、つまり「言語」を設計するということだ、と書いてありました)

で、HTMLはタグがはさまれる部分の内容を意味してたり、見栄えを意味してたりしますが、XMLだと、基本的に意味内容です。

なので、階層的に、

<人間>

 <男>太郎</男>

 <女>花子</女>

</人間>

みたいに書く、と。こういうふうにすると、機械さん的に便利なわけです。ソートしたり、描画するとき操作したり。要は階層構造のあるデータベース用のデータファイル。それだけじゃなくて、XMLは、それ自体に、自分の処理方法や、処理方法がかかれたファイルへのリンクを記述できるデータだといってもいいとおもいます。

で、べつのXSLTとかいうやつで、人間タグは黒のboldな、とか、そういうことを指定して、組み合わせると見栄えも定義できるみたいです。あと、XSLTはなんかほとんどプログラミング言語みたいなやつなので、データをソートしたりして表示できるみたいです。

と、いう理解なんですが、間違ってる可能性大きいので、うえのリンク参照のこと。でも、id:sugioさん的な、直感的にわかる言葉でデータを処理しようというのは、XMLととても発想的には近いと思います。

更新情報用ページ 02:48

What’s Newのページを作りました。

アンテナその他にご利用ください。

http://jouno.s11.xrea.com:8080/b2/new.php

つじうら 01:39

vermilionにからめるかどうかわからないが、インターネットは、辻占をやるには最適の環境のはず。どういうシステムにすればいいかなーと考え中。

たんにランダム関数のかわりにネットの状態を利用するのはつまらない。

かといって、意味のあるつながりを持たせてしまうと、占いではなくなる。

たとえば、50から100くらいの文章を用意して、それと、ランダムにあがってくる(たとえばはてなダイアリー・アンテナなんかの)文章との、意味論的じゃない、たとえば単語の一致で近似を取って、それを結果にする。

おしえてperlのえらいひと 00:05

http://jouno.s11.xrea.com/rssmaker.txt

うごかないの たすけて

というか基礎すらままならない状態で書くなという。

いちおうコードを見ると何をしたいのかはわかるとおもいます。

こびとさんをまつのみ。

かいへんさいはいふじゆうなので、自分のものにしちゃって、じぶんでかいはつなさっても、むしろありがたいくらいの……

#ああ、dacさん、これはまたべつのスクリプトです。

#はてな用のはちゃんと動いてますよ。

徳永さん 01:05

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030506-00000009-ykf-ent

気になって仕方がない。そりゃ、うれしそうに番組やってたもんなあ。

面白いのは、一昔前なら、そういうふうに、視聴者側が、出演者の間を(男女が出ていれば、物語論的には必然的にカップルでなければならない)妄想したら、それは確実に妄想だったのだが、最近、どうも意外と本当の場合もあるという感じになってきていて、なんだかなあとおもう。

(ぼくは客観を主観が侵食するのって、好きではない。だから、世界を無数の主観から構成される場としてよりも、客観が現として存在する場として考える。現実は存在する。ひとには認識できないとしても、存在しないのと同じではないと。つまり、外部はあるんだ、と)

 というか徳ちゃんはしあわせでいてほしいという感傷。(というかむしろ、テレビジョン・ストックホルム・シンドローム)


Comments(in hatena)

walrus『rssmaker.txtですが、1行ずつ処理してるんだから、「m#$secstart(.+?)$secend#is」はマッチしないですよね。…そこの話ではなくて?』
jouno『ありがとうございます。そういう場合はどうするんでしょう、ぼくはCGI,基本的に設置するのに必要なくらいの知識レベルなので。』
walrus『えーと、こちらのmakerssにインスパイアされて自作のWikiにtDiary/はてなダイアリ対応のWikiアンテナをつけたので、そのスクリプトを渡してしまうのが一番早いんですが。未公開分なので、walrus@digit.que.ne.jpまでメールをいただくか、いっそid:memn0ckさんからもらっていただければ。』