Can you see?
They have the eyes which can see only one side of the world.
詩のレッスン
雨の倦怠期的狂騒
まっさらなショーウィンドーだよ 「溶け出す」? 「腐食」? 「血液」? 「痛覚」? 生の違和感なんていまどきなあ ……団地の隅の踊り場にノラが寄ってくるのだ チャーミングな鉛筆を見たせいで 大文字「恋愛」の、第三ラウンド進行形だ 千枚通しでごみ袋にごしごしと穴を空けよう 愛用のとんかちでもってかんかんと べたべたした梅雨をどうにかしちゃおう そしたらさらさらの砂糖雨の味がするはずで だってショーウィンドーはまっさらで そろそろまっさらな闇のなか 活劇映画が始まる模様です
And We Believe the Words Of Disappearing traces.
警告
秘密を教えよう。 あなたがいままさに立っているのは熱帯のジャングルなのだ。 不可視の鳥たちの声にむせかえるような熱帯の恐るべき緑たちはあなたの体にいばらのように纏わり付き、 沼地から浮き上がってくる虫たちは硬質の感触で歩き、腐敗した獣たちの屍が土に帰っている。ちからに充ちた霧は、上方を指して充満していく。混沌は白さのなかに溶け出していく。 深みから、無数の鳥たちの声が聞こえ騒ぎだす。 無限に古い夏の午後で、この文字たちを通してのみ近づける彼方の現在で、耳元へと歌を囁く。薄い読み手の皮膜の「内側」で、つねにその皮膜を脅かしながら。 偏在する熱帯のなまなましい息吹は、薄い隠された現実のすべての表面を覆う膜の裏側に、読み手のもうひとつの肉体が息苦しく呼吸している。 霧は深い。 足許では恐らく腐食した木々が踏み付けにされている。もし、四肢の存在を忘れて世界を見つめたなら、時のない永遠の現在のさなかに放棄されたような感覚を享受しながら、ちからに充ちた霧に寛大にも包まれていることに気づくかもしれない。 光りが霧より沸き上がり、鳥たちの羽音に静かに溢れ、見渡す限り、見上げる限りの精気に充填された無数のものも言わずに聳える大木に纏わり付く蔦たちは虫たちのように上を目指しながら無定形の緑と化して、湿気た沼に溶け出す。 そして目の前の木の幹に啓示が彫り付けられてある。 「幻想の皮膜のあわいには時はない」 だがそれはいづこの邦の文字だっただろうか。
これは寓言ではない。 なぜ、透明なはずの空間が時折歪むのか。 それは皮膜がゆらぐからなのだ。 まだ、あなたは中生代のジャングルに遺棄されてあるというのに。永遠の午後は圧倒的な力で降りかかっているというのに。そしてなおあなたはいままさに読み手でありながら読んでいないものでもあるというのに。あなたは感じないのか。 中生代の湿気た沼地がその背後にはいままさに広がっている!
Somebody says fortune is a playing of innocent children.
宣誓します
古い風の都の 透明な箱庭では楓が散っています 「筈だ」としか聞こえないような 虫の羽音がその風を染めています 言葉が発せられるまえの所で 白い顔の紋章が解体していきます 名のないレールの向こうの「私」に向けて
スカラーな統計には張り切って水を差しましょう 楓が目に染みるときには署名のペン先には 確かな「あい」を [Ai]: 移り気な白いベクトルが分断されます 地面の緑で肌色の革命が 茸のように芽ぐむのは雨が降りしきるから それでも一秒ごとに宣誓いたしましょう けれど確信できなくて 慌てて加える「間違いなし」が いやもう、すごい泥沼で。
Love is cluel? really?
泥沼な詩
売れない詩人が歌っています
感性なんてもう、うんざり 手紙にならないものなんか書きたかない それだけなのにできないと
ねえ、書くことは癒しだろうか 本当に鎮痛剤だろうかと
署名抜きでも売れるような ひとを寝かさない詩が書きたいと
理解されなくたって構わない どうかわたしの書いたものを愛し 詩に値しないわたしを笑殺せよと
ページの向こうのひとよ ほとんどわたしはこのほかに あなたに触れる途を知らないと
さて、 これが私の敬具です 詩人はそうして 走り去る
あとには舞台が残るだけ どんな詩人もただそれだけ ひとときのすれ違いを 幽かにあなたに残すだけ ほんとうにただ、 それだけ
We Are All Snowblind! aren't we?
There are many things under the Darkness.