詩、二篇

 コトノ次第

 つがいのナミダをのみこんできみは歩む
 羽ばたくテレヴィの歌をきみは鳴りさわぐ
 辞書という辞書があばかれた
 フユの挨拶をしろい午後は
 波紋のなかでうけとった

 サカナたちが尾鰭をうごかして月をめざす
 羽ばたくテレヴィの躯はきみを花咲く
 ゴーストフラワー、みずうみのかなしさが繁茂してる
 ソラの韻律が鼓膜へととどいた
 たちつくす丘をながれくだる道はもはや枯渇したりしない

  そして、いま

 挨拶をおくれ   ツミトガの歩道橋に
  真夜中にうまれた猫たちがたしかに安静をえられるように

 挨拶をおくれ   ウミのいたたまれないあの沈黙に
  たしかに子供らは平原の名のない眷属をおぼえるように

 レイゾウコのなかには、うたがわしい愛がはらまれ、
  窓という窓からはじまりの偶然がおくられる

  ほら、ね?

  時計という時計が妊娠を不意にたくらむように
 いつにましてきみはタマユラをだきしめる

 ほら、いま、挨拶を とどけよ

 

コトノ次第、アトサキ

 これが詩? とワラッテきみがいう
 ぼく アイスクリームと
 絶妙ノかんたーたヲしてたけど
 サミシサを梱包していった
 もちろん だって きみが
 詩 なんだから

 水のながれる場所には 同棲三日目みたいな 高いにおいがする
 そう きみがいう

 サンマを買ってきみに焼いて出すよ 大根おろしもつけるよ
 フェンディもグッチも無理だけど 世界中のはなしをするよ

 飛び降りるノヲ シバシ 待って 衝動 と 詩 なんだから さ

 ホワイトボードにきみは活用をかいて すっかり消して クスリ
 生理前の 怪我した ねこみたいな不機嫌のきみを
 ひっかかれながら だきしめる 横暴だ 岸信介のように

 真夜中におきていると 生ゴミを回収してもらえなかったみたいに
 なにをしても いられないの 宛先がなくて 夜をあいして 

 これが詩なの?
 ときみがワラッテいう